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夜の病院。時間外受付。蛍光灯がジジジ、と音をたてている。こんな時間にもかかわらず、待合室にはけっこうな数の人がいた。血は、もう止まっていた。痛みは全くなかった。ほどなくしてあたしは名前を呼ばれ、診察室に入る。医者は傷を見て、「これは、ちょっと縫わなきゃね。」と、看護士になにやら指示を出す。
「麻酔するからね。ちょっと痛いよ。」
そう言って、傷口の周りに注射を打っていく。チクっとした痛みを一瞬感じたが、それすら自分のものではないような気がした。あたしは傷口をただ見つめていた。医者は器用に離れた皮膚と皮膚とを縫い合わせていく。ぱっくりと開いていた傷口は閉じられ、変わりに黒い糸が目立った。ゲジゲジみたい。他人事のようにそう思った。ガーゼを当て、包帯が巻かれる。
「何か、あったの?」
傷口ではなく、あたしの顔を見て医者がたずねた。
「薬、なくて。今日、診察だったんだけど、来れなかった。」
医者はカルテを開き、何かを書き足した。
「とりあえず、3日分、同じ薬を出しておくから。その間に精神科のほうを受診してください。それから、明日外科に来れるかな?傷の具合を診たいんだけど。」
あたしは礼を言って診察室を後にした。
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